めざめ
めざめ――。
もう何度読んだか分からないぐらいに好きな小説です。
借金の返済に困ったある男が兄を頼ったわけだが断れたので兄夫婦を殺害、というところからはじまって、何も知らずに遠足から帰ってきた娘はそのかわりはてた両親を見てしまって心を閉ざしてしまいます。
同じ時期に近くの交差点で12歳の少年が交通事故を起こし亡くなりました。同時期に、場所も近くということで不思議なことが起こります。殺された両親のひとり、母の方で美知代といいますが娘を思う気持ちでよみがえります。ただよみがえった先が自分の肉体ではなく、近くで起きた交通事故でなくなった少年、修の肉体だったのです。
この美知代は修として生まれ変わってからはいかにして娘の美沙とどう接点を持つかということで物語は進行していくのですが、なんというか母の子を思う気持ちというのはどんな思いより強いんだなということがよく分かりました。そして同時に自分の親が自分に対してもそう思っているんだなと思うと、文句ばかり言えないなと思います。
このめざめが面白いと思うのが以前生まれ変わりというテーマのゲームをしてその影響を受けたためか生まれ変わりということを少し信じるようになって、ちょうどそれがめざめという小説で疑似体験しているかのように思うからなんだと思います。
美知代は美沙に自分が母だということを知らせることができるシーンがありますが、すでに死に間際でした。せっかく生まれ変わって美沙と出会うことができたのに、でもまた別れなければならない。2度も離れ離れにならなければならない美沙にとってはどれほど辛い思いだったか。
美沙は最期に交わした美知代からのちゃんとやっていっているか心配だったという気持ちをしっかりと受け取ってこれからまたひとりでがんばっていかなければならないけど、そのメッセージはきちんと伝わったと思います。お別れが言えなかったという美知代の気持ちやもう一回お母さんと言ってなど。まさに泣けます。
ずっとずっとこのめざめを語り続けたいと思います。


